カブトムシ


ある夏の寝苦しい夜に、その
事件は起きた


当時、3Kのアパートで彼女と暮らしていた私、

仕事から帰り、風呂に入る・・・

彼女が作った夕食を一緒に食べて、
テレビを見ながらまったりと過ごす・・・


今日は本当に蒸し暑い。

暑さも手伝ってビールがウマイ・・・しかし、
せっかく風呂に入ったのに、あまりの蒸し暑さに
汗ばんでしまい、なんだか
損した気分

テレビからは賑やかな声が聞こえてくる・・・

しかし、その賑やかな声とはウラハラに
蒸し暑いにも関わらず、なんだか冷たい
冷気のような物がゆらゆらと背中をただよふ・・・

この時、今夜起こる恐怖を誰も知るよしも無かった、
もちろん、私でさえ気付かぬまま・・・


キリンラガーのアルコールもほどよく回り、
満腹感と仕事の疲れも相まって眠気が襲う

「そろそろ寝ようか・・・」と彼女の手を引き
寝室に入り電気を消す・・・

エアコンと扇風機のコンボ攻撃で、
なんとか寝られそうだ・・・


何度か寝返りをうち、ふと彼女の顔を見る、
なんとも
無防備で穏やかな顔だろう。

この顔が
恐怖で引き裂けそうになろうとは、
世にも恐ろしい事が起こるものである・・・



どれくらい眠っただろうか、その時は来た・・・

寝息をたててスヤスヤと眠る彼女が突然















Σ( ̄口 ̄;)!! ぎゃぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜
カブトムシ カブトムシ カブトムシィ〜〜〜〜!!








彼女の叫び声が静まり返った深夜の住宅街に響き渡る



その叫び声に私も飛び起きる


見るとそこには、暗がりの中、
自分の左腕をかきむしる彼女の姿が・・・
額には玉のような汗で錯乱状態・・・おぉ〜ジーザス・・・


パニック状態の彼女、私は彼女の手を取り
「どうした? 大丈夫か?」と・・・


すると彼女は我に帰り、少し落ち着きを取り戻した。

彼女を襲ったものとは、一体なんだったのか・・・





なんの事は無い、寝ている彼女の左腕に
そばにあったビニール袋の端っこがカサカサと当たっていただけだ!!

夢の中で、彼女は左手をカブトムシに
ハゲシク襲われたらしい・・・(笑)


あのぉ〜、一言いいですかね・・・


「頼むから静かに寝かせてくれよっ!!」



ちなみに、この話しの中に登場する彼女≠ニは、今のカミさんである!!



今も語り継がれる恐怖のカブトムシ事件・・・(笑)




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